Q & A

Q1.日本の苗字の数は世界一ですか?                                 戻 る

A1.残念ながら間違いである。
 何と言っても世界一は多民族国家のアメリカで、姓の数は100万以上と言われている。(1964年「社会保障番号書類に見られる姓の分布」に関する報告書による)
 日本が約30万で2位、フィンランドが約6万で3位、英国が1万数千で4位、中国が10,129(中華姓氏書法大詞典)で5位、お隣の朝鮮はわずか326姓(現在の韓国は258姓あるいは284姓)である。
 世界で一番人口の多い姓は、中国の王姓で約1億人(2007年4月25日 北京晨報より)と言われる。
 
 英米人の姓名―由来と史的背景 続 英米人の姓名―由来と史的背景


Q2.日本の苗字の数は数え方により増減する?                          戻 る

A 2.苗字の数え方の定義は、下記の表に示す様に大まかに四つの方式に分類出来る。

数え方 漢字の区別 字体の統合 読み方の区別 苗字件数 コメント
方式1 する する 約30万件

丹羽基二編「日本苗字大辞典」が採用

方式2 する 約10万件

Webサイト「全国の苗字」が採用

方式3 する する 約6万件

「佐久間ランキング」が採用

方式4 する 約5万件

「第一生命ランキング」が採用

 字体は新旧字体のほかに異字体や俗字体もあり、戸籍はともかく現実の社会生活では簡単な字体を使い分ける。
 NTT電話帳も掲載者およびNTT業務の都合により、必ずしも正確な字体が記載されている保証は無いのである。
 読み方の区別をしたWebサイト「苗字博士」のランキングの労作があるが、東京・神奈川に限定されている。
 本サイトでは、苗字統計調査の限界を考慮してランキングのみでなく、由来、家系、分布にわたる総合的見地から、昭和の労作である苗字統計「佐久間ランキング」の方式に準拠している。
 
 日本人の姓 (1972年) お名前風土記 (1971年) 日本の名字―五千傑と姓の考現学 (1968年)


Q3.日本の苗字の読み方による10傑は?                               戻 る

A3.異字同訓の多い日本の苗字だが、漢字による10傑と順位は変わらない。

順位 苗字 人口
(千人)
 
1

さとう

1,931

佐藤、佐東、佐当、左藤、左東、甘庶、砂糖、沙藤など

2 すずき 1,710

鈴木、鈴置、須々木、鱸、寿松木、鐸木、錫木、寿々木、周木、鈴記、
鈴樹、鈴城、寿木、寿洲貴、涼木、鈴紀、鈴杵など

3 たかはし 1,419

高橋、鷹觜、鷹箸、孝橋、鷹嘴、鷹橋、高端、鷹啄、高梁、喬橋など

4 たなか 1,344

田中、田仲、太中、多名賀、他中、多仲など

5 わたなべ 1,319

渡辺、渡部、綿部、渡鍋、亘鍋、綿鍋、綿奈部、和田鍋、渡那部など

6 いとう 1,202

伊藤、伊東、井藤、依藤、井東、井頭、以頭、居藤、猪頭、夷藤、井登、
猪藤、藺藤、翫、位頭、意東、渭東、位藤など

7 やまもと 1,103

山本、山元、山許など

8 なかむら 1,085

中村、仲村、中邑、中邨、名嘉村、仲邑など

9 こばやし 1,027

小林、古林、児林、子林、小早志、少林など

10 さいとう 988

斎藤、西藤、西塔、西東、才藤、済藤、西頭、歳桃、妻藤、斎当、細藤、
犀藤、再東、在藤、歳藤など

 漢字による10傑以外に同じ読み方で人口が多いのは、渡部(18万4000人)と伊東(11万人)であり、ほかには山元(2万6400人)、仲村(2万5500人)などが挙げられる。
 


Q4.日本の苗字は何種類の漢字が必要か?                              戻 る

A4.字体統合を計れば約三千五百字程度で可能だが、旧字体、異字体や俗字体などを許容すれば約五千字程度は必要と思われる。 表面的には、意外と少ないものと感じられるのではないだろうか。
 しかし、一般的にパソコンで使用されているJIS第一水準、第二水準に無い漢字も多いことは事実である。
 平成12年に追加制定されたJIS第三水準、第四水準からも漏れている漢字も多く存在する。
 住民基本台帳ネットワークシステムにおいては非公開の統一文字コード(約二万一千字)を使用しており、基本はユニコード・ベースのエミュレートで、漏れている漢字は残存外字として外字領域に登録している様である。
 現在のユニコードCJK統合漢字は基本多言語面(BMP)のI領域に20,902字、A領域に拡張Aとして6,582字が、将来使用予定の面02には拡張Bとして42,711字が登録されている。
 JIS制定に手間取った日本からの要求は間に合わず、漏れている漢字は面02の拡張Cへの追加要求となる。
 また、現在のWindowsでは面02を利用することは不可能であり、次世代Windows待ちの状態にある。
 JIS第一水準、第二水準に無い検索不能な苗字の一部は、苗字拾遺(検索不能)を参照。
 
 人名漢字の話題と字種 (1974年) ユニコード漢字情報辞典


Q5.苗字と姓氏の違いについて                                          戻 る

A5.苗字は近世に発生した語彙で、古代は氏族集団の氏と階級を表す姓(カバネ)が複合されて使用されていた。
 平安時代末期あたりから、貴族は居住地などの称号、武家は名田の名字などを称して、古代の氏は姓または氏と混称されるようになる。
 近世に入ると源平藤橘などの氏は公式文書のみ使われ、日常は名字が一般的となり苗字と呼ばれるようになる。
 明治以降の国民皆称の時代に入ると、氏は廃されて苗字が日常的な呼称となった。
 しかし、現代でも文部科学省では名字、法務省では氏を正式呼称としている。

 
足利左馬頭源朝臣直義 ⇒ 足利 左馬頭 源 朝臣 直義
 
                   ↑    ↑   ↑   ↑      ↑
                   苗字   官職名  氏   姓   名前
                  (名字)              (カバネ)
  

 氏と名と族称―その法史学的研究


Q6.姓(カバネ)について                                         戻 る

A6.上古の階級は貴族、平民、伴部、賤民から構成され、貴族のみが保有していたのが姓(カバネ)である。
 允恭天皇時代に、君、臣、連、直、造、首の六種が制定される。
 天武天皇時代に、真人、朝臣、宿禰、忌寸、道師、臣、連、稲置の八種に改訂されるが、現実に賜姓されたのは上位の四階級で小錦以上(五位以上)へ昇進可能な家柄に対してである。
 真人……允恭朝制定の君に相当する皇裔諸氏、平安朝以降は朝臣の次に位する。
 朝臣……允恭朝制定の臣に相当する皇裔諸氏(例外として有力神別諸氏)、平安朝以降は皇神蕃の別は消滅。
 宿禰……允恭朝制定の連に相当する神別諸氏(例外として皇蕃諸氏)、平安朝以降は皇神蕃の別は消滅。
 忌寸……允恭朝制定の直(国造や諸蕃)及び造(伴造や諸蕃)に相当する諸氏。
        天武朝貴族一覧
 後世は姓(カバネ)より源平藤橘などの氏が尊重されて、藤原朝臣××、源朝臣××の様に形式的に使用される。
 しかし、その名残りは明治初頭まで続き、初代首相の伊藤博文は明治三年の職員録に従五位守兼民部少輔越智宿禰博文と記載されている。
 
 カバネの成立と天皇 古代の姓 (1976年) 姓と日本古代国家


Q7.家号・名字の発生について                                     戻 る

A7.上古は数十人から数百人の同一血縁者が群居した氏族社会で族内婚が禁止され、氏族で出生したものはそれぞれの生母が属する氏族集団で成長する母系制社会が続いていたが、生産力の発展とともに階級分化が進み大化の改新あたりから母系制も衰退過程に入る。
 律令国家の戸籍制度により国民の多くが氏を持つことになったが、大氏族集団時代の氏族集団名を踏襲したことから同氏を名乗る家が多く、公的には氏と姓(カバネ)を名乗るが私的には別途家号を名乗ることになる。
 藤原氏を例に採れば、二代不比等の子四人が住居の方角により南家、北家、官職の式部卿により式家、左京大夫により京家の名乗ったことに見られる。

 後世子孫が多枝分流すると各人の居宅地名を名乗るが、居宅の女系伝領により父子歴代の家号が変わる。
 摂関家歴代が一条良房、堀河基経、小一条忠平、小野宮実頼と嗣ぐが、平安末期の近衛基実から父系制への過渡期となり、鎌倉期に入ると居所は近衛北室町東亭に固定して近衛名字を世襲することとなる。
 公家の中には祖先建立の寺院号に由来する西園寺、徳大寺、勧修寺などの例もある。
 武士の場合は公家よりやや早く平安末期より父系制へ移行しており、開発した本領を権門勢家に寄進して荘園管理者として収まり荘園名を名字として名乗り、名字地として一族で荘園を世襲する。
 また初期の武家は分割相続が主流で、分家は領内の小地名か移住した新地名を名乗り名字が累増する。
 特に平家滅亡後は関東の武士団が西国をはじめ全国の平家没管領へ新補地頭として移住して、新地名を名字として名乗ったり自己の名字を移住地の地名とする等で全国的な地名遷移や名字繁衍が盛んとなる。
 

 苗字の歴史 苗字と名前の歴史 (歴史文化ライブラリー)
       名字から歴史を読む方法―姓氏をたどれば意外な日本史が見えてくる (KAWADE夢新書)

Q8.天皇家について                                            戻 る

A8.建国神話に拠れば天照大神の直系とされ、源平藤橘の四姓にしても源平橘は天皇家の支流、藤原摂関家は天皇家の強固な外戚であり、天皇家に近い家が名家とされるのは神代から明治・大正・昭和・平成に至るまで一貫した鉄則である。 従って古代から皇位継承の争いが多かったことは歴史が伝え、二朝分立時代も存在したのである。 
 皇室(天皇一族)が一般国民と大きく異なるのは、姓氏や苗字を持たないことである。
 また皇族には戸籍が無く、皇統譜(大統譜および皇族譜)に記録される。

 神武天皇が大和に政権を樹立した当時は政権を支える他の豪族も姓氏を持たなかったが、垂仁天皇時代に武日命が大伴連を称し始め、公卿補任に拠れば仲哀天皇時代に子の大伴健持が大連の号を賜ったとの記載がある。
 応神天皇時代以降の豪族は概ね氏族集団の識別として天皇家から下賜される姓氏が定着する。
 天皇呼称の起源は唐の高宗皇帝が称したが、後にも先にも中国ではこの一例だけである。
 我が国では大宝元年(701)完成の大宝律令に天皇諡の規定が設けられ、42代文武天皇が適用初代である。
 文武天皇を除く神武天皇から44代元正天皇までの諡号は、淡海御船が勅を奉じて一斉撰進したと伝えられる。
 当代の天皇の称号は今上であり、崩御後に漢風諡号が奉られるが明治以降は元号となっている。
 
 歴代天皇・年号事典 歴代天皇・皇后総覧 歴代天皇事典
       歴代天皇全史―万世一系を彩る君臨の血脈


Q9.公家(堂上家)について                                        戻 る

A9.公家は武家に対する言葉で、京都の朝廷を構成する人々の総称である。
 広義に公家は堂上家(昇殿を許された家)と地下家から構成されるが、一般的には堂上家を指している。
 官職としては、摂政、関白、太政大臣、左大臣、右大臣、内大臣、大納言、中納言、参議に就く家柄である。
 家格としては、摂家、清華家、大臣家、羽林家、名家、半家の区別があり、古くからある家を旧家、文禄慶長以降創立の家は新家と呼ばれ、幕末には137家を数えるに至る。
 堂上諸家の系譜を集成したものとしては「諸家知譜拙記」がある。
 個々の公卿については「公卿補任」を参照するのが最適であり、神武天皇から持統天皇までは歴代毎に、文武天皇から明治元年までは年ごとに記録されている世界でも稀な長期間の官職録である。
 
    ※公卿出自一覧


諸家知譜拙記


公卿補任

 公卿諸家系図―増補諸家知譜拙記  諸家伝 (1968年) 公卿辞典 3訂増補
       国史大系 公卿補任 第1篇 (新訂増補 新装版) 国史大系 公卿補任 第2篇 (新訂増補 新装版)
       国史大系 公卿補任 第3篇 (新訂増補 新装版) 国史大系 公卿補任 第4篇 (新訂増補 新装版)
       国史大系 公卿補任 第5篇 (新訂増補 新装版)


Q10.大名について                                            戻 る

A10.古くは大規模な名田を耕作するものを大名主と呼ぶに始まるが、鎌倉期以降は大規模所領を持つ武家、南北朝時代は守護、後は守護に代わる戦国大豪族のことを呼ぶが、江戸時代は万石以上の領主が大名と呼ばれる。
 将軍家との親疎度により親藩、譜代、外様の別、格式により国主、准国主、城主、城主格、無城の別がある。
 官位による家格としては、極官が大納言の尾張徳川家、紀伊徳川家、中納言の水戸徳川家、参議の加賀前田家を上位として中将、少将、侍従、諸太夫までの格付けがある。
 俗に三百諸侯と呼ばれるが、江戸中期以降ほぼ260〜270家で推移して版籍奉還時に最大の280家となる。
 江戸期の大名に関する資料は様々あるが、民間出版の「武鑑」は大名の姓氏、紋章、槍印、本氏、本国、官職、官位、石高、屋敷所在地はもちろんのこと略系図、宗旨、菩提寺のほか家老などの重役家臣名の記載もある。
 
    ※公卿補任登載の武家一覧    ※大名の宗旨



 

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